ペーパーカンパニーとは?取引する際のリスクと対策・調べ方を徹底解説
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法人間で取引をする際、取引先が信頼できる企業であるかどうかを判断することは重要です。特に、ペーパーカンパニーとの取引は、税法上の問題や、詐欺や不正行為に関与してしまう可能性があることからリスクが高いと言われています。しかし、ペーパーカンパニーとの取引においてどんな注意が必要なのか、詳しく理解している方は少ないかもしれません。
そこで本記事では、ペーパーカンパニーの種類、調べ方、取引時に起こり得るリスクとその対策について解説します。
目次[非表示]
- 1.ペーパーカンパニーとは
- 1.1.ペーパーカンパニーが存在する理由
- 2.ペーパーカンパニーの種類
- 3.ペーパーカンパニーは違法に使われることがある
- 4.ペーパーカンパニーと取引を行うリスク
- 4.1.税法上の問題が発生する可能性がある
- 4.2.不透明な企業管理
- 4.3.詐欺や不正行為に関与してしまう可能性がある
- 5.ペーパーカンパニーの調べ方
- 6.ペーパーカンパニーとの取引によるリスクを避ける対策
- 6.1.専門家(税理士、弁護士)に相談する
- 6.2.適切な契約書作成を実施する
- 6.3.法人確認を徹底する
- 7.まとめ
ペーパーカンパニーとは
ペーパーカンパニーとは、法人でありながら、実際には事業活動を行っていない企業のことを指します。ペーパーカンパニーは、法律上存在しますが、通常の商業活動や従業員の雇用等は一切行わないことが特徴です。
ペーパーカンパニーが存在する理由
ペーパーカンパニーが存在する理由は、主に3つあります。
1.税務目的:適切な経理処理を行うことで、税金を節約することが可能。法令遵守の範囲内であり、一種のビジネス戦略として認められている
2.M&A(合併・買収)の手段:既存の会社の一部を分割して新たにペーパーカンパニーを設立する。新たに設立された会社を通じて、ビジネスの再編成や投資活動を行う
3.特定のプロジェクトを管理:特定のプロジェクトを管理するための特別目的会社として、設立されることがある。特定のプロジェクトの成果や失敗が他の事業に影響を及ぼさないようにする
以上がペーパーカンパニーが存在する理由です。ペーパーカンパニーの設立は、ビジネスをより効率的に、またリスクを管理しながら行うための戦略的な手段です。しかし、これらの方法が悪用されると、ペーパーカンパニーは違法な活動に利用される可能性があります。そのため、ペーパーカンパニーとの取引を行う際には十分な注意が必要です。
ペーパーカンパニーの種類
ここからは、ペーパーカンパニーの種類についてご紹介します。
ペーパーカンパニーの種類は、下記の3つです。
●休眠会社
●ダミー会社
●特別目的会社
これらの種類を理解することで、ペーパーカンパニーと取引する際のリスクを最小限に抑えることができます。
休眠会社
休眠会社とは、一時的に事業活動を停止しているが、法的には存在し続ける会社のことを指します。休眠会社は、取引やビジネスの実行を行っていない、あるいは限られた範囲でしか行っていないため、「ペーパーカンパニー」の一種とされます。
具体的には、休眠会社では以下のような状況が見られます。
1.事業活動が一時的に停止している
2.取引やビジネスの実行がほとんど行われていない
3.企業としての基本的な機能(例:人事、財務)が最低限しか機能していない
しかし、休眠会社自体は問題ではありません。
例えば、企業が新たなビジネスに進出するために設立したが、その事業が開始されていない場合などは休眠会社となります。
ダミー会社
ダミー会社とは、実質的な業務を行っていないが、名義上では正式な企業として存在している会社を指します。これらは主に、資産の隠匿や税金の回避、不正行為の隠蔽など、さまざまな目的で利用されます。
一覧表にまとめると以下の通りです。
ダミー会社の利用目的 |
具体例 |
資産の隠匿 |
倒産などで資産を他人に移転させる際に使用 |
税金の回避 |
収益を他国に移転させ税金を逃れる |
不正行為の隠蔽 |
不法な商取引を行う際に利用 |
しかし、これらの行為は非合法かつ不適切なものであり、法的な問題を招く可能性があるため注意が必要です。
特別目的会社
特別目的会社は、特定のビジネスやプロジェクトを実行するために設立されるタイプのペーパーカンパニーです。通常、資産の管理や投資など、一つの特定の目的に限定して活動を行います。
例えば、不動産投資の場合、特別目的会社が物件を所有し、運営することでリスクを分散させることができます。これにより、もしプロジェクトが失敗しても、会社全体の資産に影響を与えることなく、その特定の投資だけが影響を受けるのです。
しかし、この特別目的会社は、その機能性から不正な目的で利用されることもあります。例えば、資産隠しや税金逃れといった違法行為に利用されるケースも存在します。
ペーパーカンパニーは違法に使われることがある
ペーパーカンパニーは、主に書類上だけの企業であり、実際の事業活動はほとんどまたは全く行われていません。そのため、犯罪者や不正行為者にとって魅力的な手段となることがあります。
具体的には以下のような悪用の可能性があります。
1.資金洗浄:犯罪で得た資金を合法的な資金と見なされるようにするために、ペーパーカンパニーが使用されることがある
2.税金逃れ:ペーパーカンパニーは、法的な税制の隙間や海外のタックスヘイブンを利用して、課税を回避するために使用されることがある
3.身元隠し:ペーパーカンパニーを通じて自分の身元を隠すことができる。不正行為を隠蔽し、法執行機関や規制当局から逃れることができる
不正取引:架空の取引やサービスの提供を装って不正な支払いや請求を行うために使用されることがある。これにより、不正な資金の移動や企業の資産の流失が引き起こされる可能性がある
以上のようなリスクを理解し、ペーパーカンパニーと取引を行う際には十分な注意が必要となります。
ペーパーカンパニーと取引を行うリスク
ここからは、ペーパーカンパニーと取引を行うリスクについてご紹介します。
ペーパーカンパニーと取引を行うリスクは、下記の通りです。
●税法上の問題が発生する可能性がある
●不透明な企業管理
●詐欺や不正行為に関与してしまう可能性がある
税法上の問題が発生する可能性がある
ペーパーカンパニーは、名義上の存在しかない企業ため、財務諸表の作成や税金の納付が適切に行われていない可能性があります。そのため、取引を行うリスクとして、税法上の問題が発生する可能性があることを理解しておきましょう。
具体的には、ペーパーカンパニーと実際に取引している場合、その企業が税務調査を受けた際に、適切な証明ができずに追徴税を課されるというリスクがあります。さらに、ペーパーカンパニーと取引すること自体が脱税となってしまう可能性もあります。最悪のケースとしては、偽の取引を行い、費用を水増しして税金を逃れるという、いわゆるダミー取引となってしまう可能性もあります。
これらの行為が税務署に発覚すれば、厳重な罰則が科されるだけでなく、企業の信用も大きく失う結果となります。
不透明な企業管理
ペーパーカンパニーの一つの特徴は、その不透明な企業管理です。これは、ペーパーカンパニーが名義上の存在であるため、経営状況や財務内容が明確でないことが多いからです。具体的に挙げると、以下の3つの点があげられます。
1.財務状況:売上や利益、資産状況などの重要な財務情報が開示されていないことがある
2.人事状況:実際の経営者や社員が誰なのか、何人いるのか、どのような経歴を持っているのかが不透明な場合がある。倒産リスクや不正行為の可能性を見極めることが難しくなる
3.業績情報:過去の取引実績や業績推移などが公開されていない場合がある。将来的な事業展開や成長性を予測することが困難になる
以上のような不透明性が存在するため、ペーパーカンパニーと取引を行う際は十分な確認や対策が必要となります。
詐欺や不正行為に関与してしまう可能性がある
ペーパーカンパニーと取引する際には、詐欺や不正行為に関与してしまうリスクがあります。
具体的には、ペーパーカンパニーが違法行為の一部として利用されることがあります。
例えば、マネーロンダリングや税金逃れの方法として使われることがあります。これらの違法行為に誤って関与してしまうと、それに対する法的な罰則があるだけでなく、企業の評判も大きく損なわれる可能性があります。
また、ペーパーカンパニーの運営構造が不透明であることから、取引時に詐欺に遭う可能性もあります。例えば、商品やサービスが提供されずに代金だけが取られてしまうなどのリスクが存在します。
ペーパーカンパニーの調べ方
ペーパーカンパニーかどうか調べるためには、下記のような方法などで詳しく調査することが必要です。
・会社の公式ウェブサイトや企業情報を確認し、事業内容、設立年、役員の経歴などが詳しく書かれているかどうかを確認する。
・国税庁のホームページで企業番号を確認したり、登記簿謄本を取得したりして調査する。
・信用情報会社を利用し、会社の信用状況、経営状況、取引実績などの情報を調査する。
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ペーパーカンパニーとの取引によるリスクを避ける対策
ここからは、ペーパーカンパニーとの取引によるリスクを避ける対策をご紹介します。
ペーパーカンパニーとの取引によるリスクを避ける対策は、下記の通りです。
●専門家(税理士、弁護士)に相談する
●適切な契約書作成を実施する
●法人確認を徹底する
これらの対策を講じることで、ペーパーカンパニーとの取引によるリスクを大きく軽減することができます。
専門家(税理士、弁護士)に相談する
ペーパーカンパニーとの取引リスクを避けるには、専門家への相談が欠かせません。税法や企業法など専門的な知識をもつ税理士や弁護士は、具体的なリスクを詳細に指摘し、それぞれのリスクに対応した適切な対策を提案できます。
例えば、税理士には税務調査対策や経理の管理方法、不透明な取引に関する税法遵守など、税に関する全般的なアドバイスが求められます。
一方、弁護士には詐欺や不正行為への関与を防ぐための法的見地からの判断や、適切な契約書作成についての専門的なアドバイスが期待できます。
専門家 |
役割 |
税理士 |
税務調査対策、経理の管理方法、税法遵守に関するアドバイス |
弁護士 |
法的見地からの判断、契約書作成に関するアドバイス |
このように、専門家のアドバイスを活用することで、ペーパーカンパニーとの取引によるリスクを大幅に減らすことが可能です。
適切な契約書作成を実施する
ペーパーカンパニーとの取引で被害を防ぐためには、実際の取引の内容を具体的に明示した適切な契約書の作成と管理が必要となります。契約書は、取引の内容を明確に定義し、万が一トラブルが発生した際の対応を決めるための重要なツールです。
契約書作成時には、取引の詳細内容(商品やサービスの内容、価格、納期等)を明確にすることはもちろんですが、トラブル時の責任分担や解決手段を明記し、不測の事態に備えることも重要です。例えば、契約解除条項などを設けることで、思わぬ問題が発生した場合でも対応が容易になります。
また、契約書は作成した後も時期や状況に応じて継続的に見直しを行うことが大切です。取引状況やビジネス環境の変化に対応するための更新や改訂を忘れずに行いましょう。
法人確認を徹底する
法人確認をしっかりと行うことは、ペーパーカンパニーとの取引リスクを避けるための重要な対策の一つです。
具体的には、取引先となる会社の実在性を確認するため、登記簿謄本の取得や企業情報データベースの利用などで確認します。また、実在しない担当者によって不正利用が行われるリスクを防ぐためにも、取引先担当者の身元確認も重要となります。これは、取引先となる会社の担当者が実際にその会社の正式な代表であること、または会社から正式に担当者として指名された人物であることを確認するものです。
このような法人確認を徹底することで、ペーパーカンパニーとの取引リスクを最小化し、信頼性の高いビジネスを展開することが可能となります。
まとめ
本記事では、ペーパーカンパニーの種類、調べ方、取引時に起こり得るリスクとその対策について解説しました。ペーパーカンパニー自体は、違法ではありません。しかし、ペーパーカンパニーと取引を行うことには、不明瞭な運営や違法行為への関与の可能性など、さまざまなリスクが潜んでいます。リスクを避けるためには、ペーパーカンパニーの調査や専門家への相談、法人確認の徹底が重要となります。
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