生体認証には、ほかにも指紋や掌紋、手の静脈などで認証する方法があげられます。顔認証システムはこれらと異なるのは、デバイスに接触せず認証できる点です。顔認証は指紋や手を専用装置に合わせるなど特別な行動を要求せず、カメラの画像に顔が映れば検出・認証ができます。また、複数人の認証を一度に行うことも可能です。

顔認証システムの活用シーン

近年、顔認証システムの活用が急速に進んでおり、なりすまし防止や入退室管理など、さまざまなシーンで活用されています。

主な活用シーンをみていきましょう。

なりすまし防止のための本人確認

顔認証システムは、なりすましを防止するための本人確認に有効です。スマートフォンで撮影した容貌と運転免許証・マイナンバーカードなどの身分証明書の写真が同一人物かどうかを判定できるため、サービスの申し込みなどで本人確認を行う際、他人が本人になりすます行為を防止できます。

なりすまし防止のための顔認証は、ほかにもライブやコンサートで活用されています。会場で顔認証システムによる本人確認を行うことで、チケットが高額で転売されるのを防ぐことが可能です。

また、受験会場での「替え玉受験」や、銀行で本人になりすまして口座を開設する行為の防止にも活用されています。

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不正の抑制

顔認証システムは、不正を抑制する際に役立ちます。入退室に顔認証システムを活用して、「いつ誰が入退室したのか」というデータを残せるためです。入退室者を確実に特定して記録を残すことで、施設内で事故やトラブルが起きた場合、原因を特定することができます。外部からの不法侵入だけでなく、内部の不正を抑制することができるでしょう。

重要な書類を扱う部屋など、入室を厳重に管理したい場合には特に効果的です。万が一トラブルが発生した際に備えたリスク管理ができます。顔認証システムによる厳重な管理は、外部からの信用を高める効果も期待できるでしょう。

入退室管理

オフィスや工場、マンションなどの入退室管理にも、顔認証システムが活用されています。ハンズフリーでスムーズな入退室ができ、高いセキュリティレベルで不法侵入を防ぐことができます。

入退室に暗証番号や入館カードを使う場合、記憶違いや紛失といったリスクがありますが、顔そのものがパスワードになる顔認証システムであれば、そのような心配もありません。

オフィスでは入退室だけでなく、勤怠管理にも顔認証システムが活用されています。事前に従業員の顔データを登録しておくと、オフィス入口に設置したタブレットや自宅のPCカメラ、外出先のスマホカメラを介して認証し、出退勤の打刻が可能です。タイムカードの打刻やパソコン入力が必要なく、テレワークにも対応できます。

商品・サービスなどの決済

顔認証システムは、商品・サービスなどの決済にも活用できます。あらかじめ顔写真を登録し、決済カウンターでカメラが本人を検知して自動決済する仕組みです。

暗証番号の入力やサインの確認などの手間が省け、利用者・店舗側双方の負担を軽減します。

利用者は現金やクレジットカードを持たずに買い物や飲食ができ、身軽になって観光やショッピングを楽しめるでしょう。

施設や店舗の受付

スポーツジムやオフィス、ホテルなどの受付でも、顔認証システムが活躍しています。あらかじめ顧客情報をデータベースに登録しておくことで、来客の多い時間帯に会員の顔を瞬時に見分け、短時間で受付を済ませることが可能です。顧客は待たされることなく、会員証やカードなどの提示も省けます。

オフィス受付の無人化や、ホテルで事前に情報を登録した宿泊客の非対面によるチェックインも可能です。

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顔認証が注目される理由

顔認証システムが注目されている理由には、セキュリティ対策の重要度が高まっていることがあげられます。近年は、個人情報や顧客情報など情報漏えいのトラブルが数多く発生しており、セキュリティシステムの強化が求められている状況です。

そのような状況の中でセキュリティレベルの高い顔認証システムが注目され、施設の本人確認や入退室管理などに広く採用されるようになりました。

顔認証システムが注目されているもうひとつの理由に、顔認証システムの技術が著しく進化していることがあげられます。顔認証システムにはAI技術のディープラーニング（深層学習）が活用され、さまざまな人物の顔のデータを読み込んで顔の判別に必要な情報を学習しています。システムを多くの人が使えば使うほど学習も進み、精度が高まるという仕組みです。ますます便利になり、精度の高い認証ができるようになります。

AIによる認証精度の高まりとともに、今後も活用される範囲が広がっていくでしょう。

顔認証システムの仕組み

顔認証システムの仕組みは開発する企業によってさまざまですが、一般的には次のような仕組みになっています。

まず、カメラで顔画像を取得し、目・鼻・口といった特徴となる部分の位置や、顔領域の大きさ、目の周り・鼻筋などの明暗を分析します。その後、本人がカメラに顔を向けた際、実際の顔と保存データを照合して本人確認をするという仕組みです。

顔認証システムは、どこでデータを処理し、保管するかによって、次の2種類に分けられます。

デバイス型

クラウド型

それぞれの内容をみていきましょう。

デバイス型

デバイス型とは、デバイスに保存した顔データを照合するシステムです。機器自体が顔認証のすべての処理を行います。

顔データに個人名やIDを紐付けて登録し、カメラや機材など特定のデバイスを据え付けて認証を行います。インターネットや外部サーバーへの依存がなく、インターネットに接続できない環境でも顔認証をできるのがメリットです。セキュリティ面での心配もありません。データ送信による遅延もなく、リアルタイムに正確な顔認証を実施できます。

安全性と速度において優れており、運用コストも安価です。自社のニーズに合った性能のデバイスを導入できるというメリットもあります。

ただし、専用のデバイスを導入する際の初期費用がかかり、認証精度を上げるためにはデバイスを更新しなければならないという点はデメリットです。

クラウド型

クラウドに用意された専用システムで顔認証を行う方法です。カメラに写った顔の情報を顔データに変換し、クラウド上に登録した顔データと照合します。一般的なカメラやスマートフォンを活用でき、システム更新といった管理も必要ありません。

導入コストを抑え、システムを常時最新の状態で使用できるのもメリットです。大規模なデータベースが必要な顔認証では、効率的なデータ管理と更新ができるでしょう。

一回の顔データ登録で複数の端末と連携できるため、オフィス・施設・マンションなど複数の場所を出入りするケースでも役立ちます。

ただし、デバイス型と比較すると認証速度が遅く、インターネット環境がなければ使用できないというデメリットがあります。また、顔写真という個人情報をクラウド上にアップロードするため、万全なセキュリティ体制が必要になるでしょう。

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顔認証システムの認証方式

顔認証システムは、データをどのように取得するかという認証方式について、次の2つに分けられます。

2D顔認証方式

3D顔認証方式

それぞれの内容をみていきましょう。

2D顔認証方式

カメラに写った目・鼻・口などの位置を認識し、データベースの情報と照合する方式です。撮影した顔の静止画像だけを使用するため、特別なセンサーや高額な装置を必要としません。スマートフォンやタブレット、パソコンなど、対応できるデバイスが多いというメリットがあります。

すでに設置しているカメラも活用できるため、導入コストを抑えられるという点もメリットです。会社や施設などで多数の顔認証システムを導入したい場合、コスト削減ができるでしょう。

ただし、日光や照明などによる光の量で認証精度が左右されやすく、髪型や化粧などの影響を受ける可能性があるなど、課題が少なくありません。また、平面のみで判定を行うため、他人が本人の顔写真を使って認証するリスクもあります。

3D顔認証方式

2D顔認証の仕組みに赤外線センサーを搭載し、顔の奥行き情報や輪郭など立体的なデータを取得して本人確認を行う認証方式です。顔認証の機能が増えることで、2D顔認証システムより認証精度が高くなります。

写真やビデオを使用したなりすましを防止でき、髪型や化粧、光の量の影響を受けにくい点がメリットです。ただし、赤外線認証に対応した設備の導入が必要であり、初期費用がかかるというデメリットがあります。特に多数の導入を検討している場合は、コストが高額になるでしょう。

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顔認証システムを導入するメリット

顔認証システムを導入することで、セキュリティレベルの高い本人確認ができるなど、さまざまなメリットがあります。

導入のメリットについて、詳しくみていきましょう。

セキュリティレベルが高い

顔認証システムは、ほかの認証システムと比較してセキュリティレベルが高く、安全に本人確認をできることがメリットです。そのため、金融機関や空港など、高いセキュリティが求められる場所で採用されています。

顔の情報は暗証番号やICカードのように盗まれる心配がなく、偽造も非常に困難です。パスワードの場合は漏えいや使いまわされる可能性がありますが、顔認証にはそのようなリスクもありません。

生体判定技術（人の表情や動作を検出して生体か否かを判定する）を使えば、他人の顔写真を使ったなりすましを防止できます。

他人の社員証やICカードを使った入退室の場合、権限のない人が入室することが可能です。しかし、顔認証システムであれば、不正や第三者によるなりすまし、犯罪を未然に防ぐことができます。

非接触で衛生的

顔認証システムは、カメラに顔を向ければ認証が完了します。指紋・静脈認証などと異なり、どこかに手を触れる必要がありません。両手がふさがっていても認証でき、衛生的である点がメリットです。

感染症の拡大により、衛生面に敏感になっている人は少なくありません。非接触の認証は、利用者に安心感を与えられるでしょう。

検温機能を備えたシステムを選べば、認証と検温チェックを同時に行うこともできます。

パスワードの忘れ・紛失のリスクがない

顔認証システムはICカードやパスワードが不要であり、パスワードの忘れやハッキング被害、ICカードの紛失・盗難といったリスクがありません。第三者がパスワードやカードを悪用し、不正入室するといった事態を防止できます。

物理的なカードや鍵などで入退室している場合、入退室する場所が増えるほど、管理するカード・鍵も増えていきます。顔認証システムであればこれらの保管・管理も不要になり、手間やコストの削減につながるのもメリットです。

利用者の負担が少ない

顔認証は、顔の識別から認証までの時間が短く、カメラに軽く顔を向けるだけで認証が完了します。利用者の負担が少ないため、サービスの申し込みなどで認証手続きが複雑なために離脱をするといった事態も防止できるでしょう。

セキュリティレベルの高さでは、目の虹彩認証や手の静脈認証も顔認証システムに匹敵します。しかし、使いやすさの点では、顔をカメラに向けるだけで済む顔認証システムの方がはるかに優位性は高いでしょう。

利用者の利便性を図れることで顧客満足度の向上につながるため、サービスを提供する側にとっても大きなメリットといえます。

出入りの手間を減らして時間を効率よく使えるという点で、会社や施設においても高いメリットがあります。時間を有効活用できることで、業務効率化にもつながるでしょう。

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顔認証システムを導入する際の注意点

顔認証システムを導入する際には、システムによって精度に差がある点と、プライバシーに配慮する点に注意が必要です。

ここでは、システム導入に際しての注意点を解説します。

顔認証の精度に差がある

顔認証システムは、製品によって性能に差があります。顔認証システム自体はほかの生体認証の中でも高い精度といえますが、システムによって精度は異なるということは把握しておきましょう。

まず、2D認証か3D認証かという認証方式によって、精度の高さは異なります。より精度の高いシステムを求めるなら、3D顔認証方式を選ぶとよいでしょう。

さらに、認証精度の高いものを選ぶ際のチェックポイントは、次のとおりです。

マスクを着用しても認証できるか

さまざまな光線状態でも認証できるか

顔が経年変化しても認証できるか

第三者による評価を得ているか

ウイルス感染症が流行したり花粉が飛散したりする時期はマスクをする人も多く、マスクを着用しても認証できるシステムが理想です。近年は、マスク着用時でも高い認証精度を可能にするシステムが開発されています。

また、顔認証システムによっては、明るさや光線の状態などで精度が変わります。屋外など光の影響を受けやすい場所に設置するときは、さまざまな光線状態でも認証できる性能のシステムを選ぶようにしましょう。

システムによっては、顔の経年変化によって認証されにくくなるものがあります。AIが経年変化に対応できない場合、長期間使用していて突然認証できなくなる可能性があります。長期間の運用を考えている場合は、経年変化に対応できる製品を選ぶことが必要です。

顔認証システムの精度は、米国国立標準技術研究所（NIST）が実施しているベンチマークテスト（FRVT）が実施するランキングでも確認できます。ベンチマークテストでは、認証エラー率などさまざまな項目でテストを実施しており、製品選びの参考にできるでしょう。

プライバシーへの配慮が必要

顔認証システムで扱う顔に関するデータは、個人情報保護法における「個人情報」にあたるため、扱いには十分な注意が必要です。

個人情報である顔認証データは、次のルールに従って取り扱う必要があります。

取得・利用するとき：利用目的を特定して通知・公表し、その範囲内で利用する

保管・管理するとき：個人データの漏えい等が起こらないよう、安全に管理するために必要な措置を講じる

第三者に提供するとき：原則として本人の同意が必要

本人から開示等の請求があったとき：開示、訂正、利用停止などに対応する

顔を登録する際は本人の同意を得てから取得し、顔データは暗号化して管理するといった対策が求められます。

個人情報保護を徹底するため、顔認証システムを導入する際は、運用方法やデータの取り扱いについてのガイドラインを作成しましょう。

個人情報保護法について詳細を知りたい方はこちらの記事もご覧ください。
個人情報保護法を分かりやすく解説｜情報の取り扱い方法や改正内容とは

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高精度な生体認識技術で顔認証が可能なネクスウェイ本人確認サービス

顔認証システムを活用した本人確認サービスとしておすすめなのが、ネクスウェイ本人確認サービスです。

世界各国の政府・金融機関で導入実績のある生体認証技術を採用しており、高精度な認証を実現します。

ユーザー本人の容貌と本人確認書類の確認は、スマートフォンやパソコンのカメラを通して行います。まばたきや視線などの生体判定技術や本人確認書類の厚み判定などで、なりすましや偽造を防止する仕組みです。

オンライン上で本人確認ができるeKYCであれば、いつでもどこからでも本人確認が完結します。ユーザーの利便性を高め、離脱を防ぐことができます。事業者にとっても、本人確認の業務にかかる負担を削減できるのがメリットです。

料金体系は毎月の利用件数に応じた従量課金制で始めやすく、利用者数の増減にも柔軟に対応できます。初期費用を抑え、運用コストも最小限に抑えることが可能です。

また、セキュリティ体制も万全です。各種法令に準拠した厳重な個人情報管理と、攻撃監視や情報の暗号化といった高セキュリティの本人確認体制を提供しています。

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eKYCについてさらに詳しく知りたい方はこちらの記事もご覧ください。
eKYCとは？オンライン本人確認とKYCの違いや導入するメリットを解説

まとめ

顔認証システムはセキュリティレベルが高く、入退室管理やなりすまし防止など、幅広いシーンで活用されています。暗証番号やICカードのように盗用される心配がなく、カメラに顔を向けるだけで認証できるため、利用者の負担が少ない点もメリットです。

本人確認に顔認証システムの導入を検討している方には、ネクスウェイ本人確認サービスがおすすめです。従量課金制で導入しやすく、高精度な生体認証技術でなりすましを防止します。ユーザーの利便性を高めて離脱防止もできるため、ぜひご活用ください。

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顔認証システムとは？仕組みやメリット・活用シーンを解説