
eKYCのホ方式廃止で本人確認はどう変わる?今準備すべきこととは
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オンラインの本人確認(eKYC)では、本人の顔写真と本人確認書類の画像で確認作業を行う「ホ方式」が廃止される方向性となっています。現在eKYCでホ方式を提供している事業者は、ホ方式に代わるICチップ読み取りの手法を検討しなければなりません。
本記事では、eKYCのホ方式廃止の概要や対応策、代表的な代替の手法であるワ方式やへ方式について解説します。
2027年にeKYCのホ方式は廃止される

「ホ方式」とは、オンライン本人確認(eKYC)のうち、本人の顔写真と本人確認書類(運転免許証など)の画像を撮影・送信し、照合して本人確認を行う方式です。カメラ付きのスマートフォンがあれば利用できるため、広く利用されています。
このホ方式は、2027年に予定している犯収法(犯罪による収益の移転防止に関する法律)の改正で、廃止が予定されています。
ここでは、ホ方式廃止の詳細について確認していきましょう。
犯収法改正による非対面本人確認の厳格化
犯収法の改正は「2027年4月1日から施行」とされ、非対面(オンライン)での本人確認の厳格化を目的としています。
現時点で認められているeKYCの手法は、犯収法における「ホ方式」「へ方式」「ト方式」「チ方式」「ワ方式」です。この中でも、本人の顔写真撮影に加えて、マイナンバーカードや運転免許証など本人確認書類の撮影を行うホ方式は、多くの事業者が利用しています。
しかし、近年は偽造身分証による犯罪が増加している事情があり、偽造しやすい身分証の撮影画像と目視確認を行うホ方式では、犯罪に利用されるリスクが高まることが指摘されています。そのため、運転免許証等の画像送信や顔写真のない本人確認書類を用いるホ方式は廃止される方針で決定していることが現状です。
犯罪収益移転防止法についてさらに詳しく知りたい方は、こちらの記事もご覧ください。
犯罪収益移転防止法とは?概要や本人確認(eKYC)の要件について
公的個人認証サービス(JPKI)への一本化
ホ方式の廃止が予定されているなかで、今後のeKYCの主要な手法として注目されているのがワ方式です。ワ方式とは、マイナンバーカードを用いた本人確認手法であり、その中核を担っているのが公的個人認証サービス(JPKI)です。
このJPKIは、マイナンバーカードのICチップに格納された電子証明書を活用し、オンライン上での本人確認を行う仕組みです。ICチップには個人情報や署名用の電子証明書が安全に保存されており、利用者が自らの意思で認証操作を行うことで、安全に手続きを実施できます。
2027年4月に予定されている犯収法の改正では、セキュリティ面や利便性に課題のあるホ方式を廃止し、ワ方式への一本化を進める方針です。これにより、eKYCの本人確認の精度と安全性が大きく向上することが期待されています。
ワ方式の導入によって、これまで課題とされていたなりすましや本人確認書類の偽造・改ざんといったリスクを大幅に抑制できます。あわせて、事業者側にとっても書類の目視確認が不要になることで事務作業の効率化やコスト削減が見込まれるため、多くの企業で導入が検討されています。
JPKIについてさらに詳しく知りたい方は、こちらの記事もご覧ください。
JPKI(公的個人認証サービス)とは?マイナンバーカードによる認証の仕組みやワ方式の要件を解説
その他の犯収法改正内容
2027年4月から施行される犯収法の改正は、ホ方式廃止のほかに次の2点がポイントです。
写しの送付を受ける方法の原則廃止
非対面で送付可能な書類の厳格化
まず1点目は、現在利用されている「リ方式」の見直しが対象となっています。リ方式では、本人確認書類のコピーを2点、あるいは本人確認書類1点と補完書類1点を送付してもらい、その記載住所宛に転送不要郵便を送付することで本人確認を行う手法です。
しかし、この手続きはホ方式と同様に、偽造書類の使用やなりすましのリスクが高いことから、改正により廃止されることとなっています。
2点目については、ICチップ搭載型の本人確認書類(例:マイナンバーカード)を保有していない利用者に対応するため、原本の郵送による確認手段が一定の条件下で継続されることに関連する措置です。
これらの方法で提出可能な書類は、たとえば住民票の写しなど、偽造防止措置が講じられた公的書類に限定される方向となっています。これにより、不正取得や改ざんを未然に防ぐための制度的な強化が図られます。
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公的個人認証サービス(JPKI)とは

犯収法改正によりホ方式が廃止されたあとは、公的個人認証/JPKI(ワ方式)に一本化される方針です。
ここでは、公的個人認証/JPKI(ワ方式)とはどのような手法なのか、詳しく解説します。
犯収法のワ方式
公的個人認証/JPKI(ワ方式)とは、マイナンバーカードに内蔵されたICチップに記録された電子証明書を活用し、インターネット上で本人確認を行う仕組みです。氏名や生年月日といった個人情報のほか、電子署名を通じて本人であることを証明できるため、従来の目視確認や書類提出と比べて、迅速かつ正確な本人確認が可能になります。
JPKIは、犯収法において、本人確認方法のひとつとしてワ方式に分類されており、特にセキュリティの高い手段として位置づけられています。
公的個人認証/JPKI(ワ方式)を導入することで、行政手続きや金融サービス、ECサイトの利用時など、さまざまなオンライン取引においてなりすましや不正アクセスを防止できます。また、手続きが完全にオンラインで完結するため、申請者・事業者双方にとって手間やコストの削減につながることも大きなメリットです。
ワ方式とホ方式の違い
公的個人認証/JPKI(ワ方式)と、廃止が予定されているホ方式の違いは、次のとおりです。
ワ方式 | ホ方式 | |
手法 | ICチップの電子証明書を利用 | 本人容貌撮影+写真付き本人確認書類画像の送信 |
本人確認書類 | マイナンバーカード | 下記のいずれかの写真付き身分証明書1点 ・運転免許証 ・運転経歴証明書 ・マイナンバーカード ・在留カード ・住基カード ・特別永住者証明書 ・パスポート |
目視確認 | 不要 | 必要 |
ユーザビリティ | 顧客の作業が少ない | 顧客の作業が多い |
ホ方式では、本人確認書類の偽造リスクが存在するのに対し、ワ方式ではそのリスクを大幅に抑えられます。マイナンバーカードのICチップには、不正な読み取りを防ぐ保護機構が備えられており、セキュリティ面でも安心です。
また、ホ方式では事業者が本人確認書類を目視でチェックする必要がありますが、ワ方式ではその作業が不要です。利用者が登録した情報とICチップの情報をシステムで自動照合できるため、運用コストの削減にもつながります。
利便性の面でもワ方式は優れており、ホ方式が必要とする顔写真や書類の撮影が不要です。
マイナンバーカードをスマートフォンにかざし、パスワードを入力するだけで本人確認が完了します。
オンライン本人確認「eKYC」についてさらに詳しく知りたい方は、こちらの記事もご覧ください。
【5選】オンライン本人確認「eKYC」にはどのような方式がある?まとめて解説!
JPKIのメリット
デジタル庁は、JPKIを利用するメリットについて、次の3点をあげています。
顧客サービス向上
事務コスト削減
セキュリティ強化
JPKIは法令に定められている強固な本人確認の手法です。金融機関等でも導入が進んでおり、利用経験のあるユーザーも増加しています。
本人確認書類や申込書の準備・記入、郵送など、顧客が負担する手間を省き、作業工数を削減できます。そのため、顧客サービスの向上に役立つ点がメリットです。
また、事業者側でも本人確認書類や申込書等の受付・審査、顧客への通知に関わる郵送業務といった作業がなくなり、事務コストを大幅に削減できます。
さらに、公的個人認証/JPKI(ワ方式)では「公開鍵暗号方式」と呼ばれる暗号技術を使用するため、セキュリティを強化できることもメリットです。
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ワ方式とへ方式はどちらを採用すべき?

eKYCでICチップを読み取る手法には、公的個人認証/JPKI(ワ方式)のほか、「へ方式」という方法も存在します。
へ方式では、運転免許証やマイナンバーカードなどのICチップに記録された情報を読み取り、利用者の顔画像と照合することで本人確認を行います。このプロセスにより、書類の偽造やなりすましのリスクを軽減できます。
ワ方式とへ方式では、利用可能な本人確認書類や確認方法に違いがあるため、自社の業務フローや顧客に適した方式を採用することが重要です。また、本人確認段階で離脱するユーザーを減らすために両方に対応できるように準備しておくことよいでしょう。
ここでは、へ方式の仕組みを紹介するとともに、ワ方式との相違点についても解説します。
へ方式とは
へ方式とは、eKYC(オンライン本人確認)において、本人が自ら撮影した顔画像と、本人確認書類に内蔵されたICチップから読み取った情報を組み合わせて送信し、本人確認を行う方式です。
ICチップには個人情報が格納されており、これを読み取って照合することで、書類の偽造やなりすましのリスクを大幅に低減し、より安全な本人確認が可能となります。
ワ方式とへ方式の違い
ワ方式とへ方式は、利用できる本人確認書類や確認の方法に違いがあります。
ワ方式で利用できる本人確認書類はマイナンバーカードのみですが、へ方式ではマイナンバーカードのほか、運転免許証、在留カード、特別永住者証明書も利用可能です。
また、ワ方式では顔写真の提出(容貌の確認)は不要ですが、へ方式では本人が撮影した顔写真の提出が必要です。
へ方式は顔写真の撮影という手間がある一方で、マイナンバーカードを持たない顧客も本人確認ができるというメリットがあります。
そのため、本人確認の途中で手続きを離脱する顧客を減らすためには、ワ方式・へ方式のどちらにも対応できるように準備しておくことが推奨されます。
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ホ方式廃止に向けて対応する方法

eKYCでホ方式を採用している事業者は、2027年の廃止に向けて早めの準備が必要です。
ここでは、どのような準備が必要なのか、考えられる3つの方法について解説します。
自社でネイティブアプリを用意する
ICチップの読み取りにはネイティブアプリが必要となるため、ホ方式に代えてワ方式を導入するには、ネイティブアプリの活用を検討する必要があります。
ネイティブアプリとは、デバイスのOSに最適化されて開発され、App Storeなどのアプリマーケットからインストールして使用するアプリケーションのことです。
そのため、まず考えられる対応策としては、自社でネイティブアプリを開発・提供することが挙げられます。すでにネイティブアプリを展開している場合は、Webサイトからアプリへの導線(リンクや案内)をわかりやすく整備することが必要です。
ベンダーが提供するアプリを利用する
自社にネイティブアプリがなく、開発も難しい場合は、eKYCベンダーが提供するネイティブアプリを利用するという選択肢があります。
ネイティブアプリを自社開発するためには、新たに開発・提供するコストと労力が多くかかります。
ベンダーのアプリを活用することで、こうした負担を軽減し、よりスムーズに公的個人認証/JPKI(ワ方式)を導入・運用できるようになります。
デジタル庁が提供するデジタル認証アプリを利用する
デジタル庁が提供する「デジタル認証アプリ」を活用する方法もあります。デジタル認証アプリは国が運用しているため、自社での運用コストは不要です。
また、顧客がすでにこのアプリをインストールしていれば、新たなインストールの手間がかからない点もメリットのひとつです。
さらに、自社のネイティブアプリを展開している場合でも、デジタル認証アプリを併用することで、利用者の選択肢が増え、顧客の流入経路を広げられるでしょう。
自社での運用に不安がある場合は、知見のある外部業者に委託することがおすすめです。ホ方式廃止に向けてスムーズに準備するために、選択肢のひとつとして検討してみることもお勧めします。
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eKYCのワ方式も提供できる「ネクスウェイの本人確認ソリューション」

eKYCのワ方式を手軽に採用したいと考えている方におすすめなのが、公的個人認証/JPKI(ワ方式)も提供できる「ネクスウェイの本人確認ソリューション」です。
ここでは、サービスの特徴やメリットを解説します。
ネクスウェイで提供するワ方式(JPKI)ソリューション
ネクスウェイの本人確認ソリューションでは、公的個人認証/JPKI(ワ方式)に対応しています。これにより、ホ方式に代わるeKYC手法として活用でき、ユーザーの作業負担を軽減しつつ、本人確認書類の目視チェックが不要になるため、業務コストの削減にもつながることが大きなメリットです。
公的個人認証/JPKI(ワ方式)では、アプリ提供・ライブラリ提供の2つのサービス提供方法を用意しています。「アプリ提供」の場合、iPhoneユーザーはアプリをダウンロードせずにSafariで公的個人認証が利用できます。Safariの利用ができない顧客のみ、アプリをダウンロードして利用します。
「ライブラリ提供」では、アプリ内にICチップの読み取りライブラリを用意する方式です。設計の自由度が高く、導入コストを抑えて利用できます。
へ方式にも対応可能
ネクスウェイの本人確認ソリューションでは、へ方式での本人確認にも対応しています。へ方式に対応することで、マイナンバーカードを保有していない顧客の受け皿になり、不正や偽造のさらなる防止につながります。
この方式では、免許証やマイナンバーカード、在留カードなどのICチップに記録された個人情報を活用し、「ICチップ署名検証」によってデジタル完結の本人確認を実現します。
手続きは、「セルフィー撮影」と「ICチップの読み取り」だけで完了するため、巧妙化する本人確認書類の偽造や、なりすまし申請、データの改ざんといった不正行為の防止に役立ちます。
ネクスウェイの本人確認ソリューションは、ホ方式・ワ方式・へ方式のすべてに対応しているため、ホ方式からのスムーズな切り替えが可能です。
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まとめ

現在、eKYCでホ方式を採用している事業者は、2027年のホ方式廃止に向けて早期の対応が必要です。
ホ方式を提供している事業者は多く、今後一斉にICチップ読み取り方式への移行が進んだ場合、eKYCベンダーの対応リソースが逼迫するおそれがあります。
移行が間に合わなければ、一時的にeKYCの提供が停止せざるを得なくなる可能性もあるため、計画的な準備が求められます。
ワ方式やへ方式といったICチップ読み取りに対応したeKYCの導入を検討中の方は、ぜひ、ホ方式・ワ方式・へ方式のすべてに対応しているネクスウェイの本人確認ソリューションをご活用ください。
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