不動産特定共同事業法とは?法改正のポイントと本人確認業務について解説!
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不動産特定共同事業法とは、「不動産特定共同事業」が適正に運営され、投資家が守られるように施行された法律です。1995年にはじめて施行され、以後数回の改正が行われている不動産特定共同事業法は、不動産クラウドファンディングに関わりの深い法律です。
今回は、不動産特定共同事業法と、法律に準拠した本人確認方法として「eKYC」についてもご紹介します。
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不動産特定共同事業法とは?
不動産特定共同事業法(以下、不特法)とは、「不動産特定共同事業」において、適正な運営と、投資家の利益の保護を目的に制定された法律です。
「不動産特定共同事業」とは、高額な不動産を小口化し、複数の投資家から募った資金で取得・運用を行い、その運用益や売買益を投資家に分配する事業のことを指します。
不動産小口化商品を取り扱う企業は1980年代に大きく増加しましたが、1991年のバブル崩壊に伴い相次いで倒産し、当時の投資家は甚大な不利益を被りました。このような背景から収益不動産投資家の利益を守る法律の必要性が高まり、1995年4月、不特法は施行されたのです。以降、2013年と2017年、2019年に、より時代と状況に合わせた形で法改正がなされています。
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不動産特定共同事業の種別
不動産特定共同事業には、大きく分けて3つの種別があります。
- 任意組合型
- 匿名組合型
- 賃貸委任契約型
以下にて、詳しく詳細を解説いたします。
1.任意組合型
任意組合型とは、投資家が事業者と任意組合契約をする投資方法です。任意組合型の仕組みは、まず投資家が、不動産の共有持分を購入します。購入した不動産を、事業者に現物出資します。そして、事業者が組合の代表として不動産の管理・運営を行い、収益を投資家へ分配するのです。
この場合、不動産の持ち主は投資家となり、登記簿には投資家の氏名が載るため匿名性はありません。不動産の運営・管理は事業者が行いますが、任意組合型は後述する匿名組合型よりも、投資家が不動産を所有し不動産事業をしている状態に近くなります。
2.匿名組合型
匿名組合型とは、投資家が事業者と匿名組合契約をする投資方法です。事業者は投資家から受け取った出資金を使用し、賃貸を保有します。その管理・運用によって得た利益を出資割合に応じて投資家に分配するのです。
匿名組合型の「匿名」とは、賃貸の持ち主が事業者になり、登記簿に投資家の名前が載らないことからつけられています。
不動産小口商品として、最も多く販売されているのが匿名組合型です。比較的少額から購入でき、安全性が高い商品が多くあります。一方で、その他の投資方法よりも収益の分配分が低いという特徴も持ち合わせています。
3.賃貸委任契約型
賃貸委任契約型とは、投資家が事業者に対して、対象不動産の賃貸または賃貸の委任をする契約を締結する方法です。事業者が不動産の管理・運営を行い、得た利益を投資家に分配します。
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不動産特定共同事業者の種別
上記で「事業者」と記載しているものは、「不動産特定共同事業者」の略称です。不動産特定共同事業者と名乗るためには、一定の条件をクリアする必要があります。
不動産特定共同事業を行うためには、国土交通大臣または都道府県知事の許可が必須となっています。事業者の種類は、以下の4種類です。
種類 |
事業者の定義 |
必要な資本金 |
---|---|---|
第1号事業者 |
不動産特定共同事業契約に基づいて運営される不動産取引から得られる利益等の分配をする |
1億円 |
第2号事業者 |
不動産特定共同事業契約締結の代理・媒介をする |
1,000万円 |
第3号事業者 |
特例事業者から委託され、不動産特定共同事業契約に基づいて運営される不動産取引業務をする |
5,000万円 |
第4号事業者 |
特例事業者が当事者となる不動産特定共同事業契約締結の代理・媒介をする |
1,000万円 |
不動産特定共同事業者が満たすべき要件
それぞれ、必要な資本金が定められている他にも、以下4つの要件を全て満たしている必要があります。
- 宅地建物取引業者免許の保有
- 財産的基礎があり、事業を遂行できる人的構成がある
- 不動産特定共同事業契約約款がある
- 事務所ごとに業務管理者を置いている
これらを満たしてはじめて、不動産特定共同事業者として許可を受けることができるのです。
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法改正の流れと改正ポイント
不動産特定共同事業者の要件と種別を確認した後は、「不特法」について法改正の流れに沿ってご説明いたします。
1995年に施行された不特法は、2013年と2017年、2019年に改正されました。ここからは、2017年と2019年に行われた法改正で、具体的に何が変わったのかポイントを紹介していきます。
2017年の「小規模不動産特定共同事業」
2017年、不特法に規制緩和が施されました。これまで厳しい審査の上で許可がないと事業を行えなかった不動産特定共同事業に、登録制の「小規模不動産特定共同事業」が追加されたのです。
小規模不動産特定共同事業では、5年ごとの登録制を採用しており、国土交通大臣または都道府県知事の許可は原則必要ありません。また、不動産特定共同事業者よりも安い資本金で事業参画ができるため、中小企業や地方の不動産会社も利用ができるようになり、地方創生にも一躍買うのではという期待も規制緩和を後押ししました。
小規模不動産特定共同事業者の定義は、以下の2つに分類されます。
- 小規模第1号事業者:事業者の定義は第1号事業者に同じ
- 小規模第2号事業者:事業者の定義は第3号事業者に同じ
資本金はどちらの事業者種別も1000万円、投資家一人当たりの出資総額が100万円を超えないことや、運用総額が1億円を超えないことなどが条件として加えられています。
不動産クラウドファンディングの事業者要件が緩和
この改正によって大きく影響を受けたのは、「不動産クラウドファンディング」という事業です。不動産クラウドファンディングとは、以下の手順で行われます。
- 事業者が高額な不動産を小口化
- インターネットを通じて投資家を募る
- 集まった資金で不動産を購入
- 賃借益や売買益などの収益を投資家に分配
2017年の法改正では、クラウドファンディングを「電子取引業務」とはじめて定義し、一定の規則が設けられました。法改正前は、取引に関する重要な書類のオンライン交付は認められていませんでしたが、法改正により、
- 契約成立前に書面を交付しての説明
- 契約成立時の書面交付
- 財産管理報告書
この3つが、インターネットを用いて行っても良いと決められたのです。この法改正により、不動産クラウドファンディングは一般化していきます。
2019年の改正によって不動産クラウドファンディング事業が活発化
まず、ことの背景として、2018年に閣議決定された「未来投資戦略2018」があります。閣議では、投資促進や日本経済、次世代産業について協議されています。
未来投資戦略2018を踏まえ、2019年に不動産クラウドファンディングの活性化を目的に、更なる法改正が行われました。改正された内容は以下の5つです。
- 「不動産特定共同事業法の電子取引業務ガイドライン」の策定
- 不動産特定共同事業法施行規則の改正
- 不動産特定共同事業への新設法人の参入要件の見直し
- 不動産流通税の特例措置の延長・拡充(平成31年度税制改正)
- 特例事業者の宅地建物取引業保証協会への加入解禁
新設法人の参入規制も緩和
不動産特定共同事業に新規参入しようとした時、2019年の法改正前は、直近3年間の決算書類の提出や、財産的基礎を有しているかの調査が課せられていました。
法改正により、不動産クラウドファンディングに限りそれらの義務が撤廃され、不動産特定共同事業に新規参入しやすくなりました。これら一連の法改正の流れにより、昨今不動産クラウドファンディング事業は急激に増加しているのです。
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不動産クラウドファンディングに重要な「本人確認」
不動産クラウドファンディングについて学ぶとき、「犯罪による収益の移転防止に関する法律(犯収法)」についても知らなければなりません。犯収法とは、テロ資金供与やマネーロンダリングなど不正な取引の防止を目的として、“特定事業者”が顧客を把握するために制定されている法律です。
従来の犯収法では、本人確認業務を対面か郵送で行うよう規定されていました。しかし、近年のインターネット普及によるオンライン需要の増加に伴い、2018年に犯収法が改正・施行されます。
改正犯収法では、新たにオンラインで本人確認業務を執り行う「eKYC」手法が規定されました。eKYCは、法的な本人確認手法として、犯収法で認められているということとなります。
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なぜ多くの事業者にeKYCが選ばれているのか
では、なぜ多くの不動産クラウドファンディング事業者にeKYCは選ばれているのでしょうか。それは、以下の2点の理由があります。
- 犯収法の「特定事業者」にあたるため
- 投資家のマイナンバー取得のため
ここから詳しくまとめていきましょう。
①犯収法の「特定事業者」にあたるため
不動産クラウドファンディング事業者は、前項で紹介した、犯収法の“特定事業者”に含まれ、規制を受ける対象となります。
テロ資金供与やマネーロンダリングなど不正な取引の防止のため、不動産クラウドファンディング事業者は、顧客との取引時確認を行わなければならないと規定されているのです。この取引時確認の中に、本人特定事項、つまり本人確認業務が含まれています。
②投資家のマイナンバー取得のため
金融商品を運用する不動産クラウドファンディングなどの事業者は、税務署に「不動産等の譲受けの対価の支払調書」など特定の法定調書を提出しなければなりません。その時、不動産の売主または貸主のマイナンバーを記載することが義務付けられており、そのため投資家のマイナンバーを取得する必要があります。
また、マイナンバーの提供を受ける事業者は、本人確認を行うとき、番号確認と身元確認を同時に行わなければならないという決まりもあります。eKYCでは、マイナンバー取得と同時に本人確認を行えるため、効率的に犯収法に準拠した本人確認業務が行えるのです。
JPKI(公的個人認証サービス)についてさらに詳しく知りたい方はこちらの記事もご覧ください。
JPKI(公的個人認証サービス)とは?マイナンバーカードによる認証の仕組みやワ方式の要件を解説
その他のeKYC導入によるメリット
eKYCは、全てのオペレーションをインターネット上で完結できます。それにより、3つのメリットが生まれます。
- スピーディーな本人確認
- 離脱防止
- 本人確認業務コストの低減
まず最も大きなメリットは、本人確認がスピーディーに行えることでしょう。本人確認を郵送で行うとき、書類の授受には数日から数週間かかりました。長い手続き期間の中でストレスを感じたユーザーは、手続きを途中でやめてしまう、つまり「離脱」にもつながっていたのです。eKYCならオンラインでスムーズに本人確認が完結し、速やかにサービスの利用を開始することができます。
また、書類の郵送による本人確認は、多くの人手を必要としました。書類を郵送する手間やコスト、人員のシフト編成を組む手間が、郵送による本人確認を自社で行う場合は不可欠となっていたのです。しかし、eKYCを導入すればこのような本人確認業務にかかる手間やコストを低減することができるのです。
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不動産特定共同事業には「ネクスウェイ本人確認サービス」
不動産特定共同事業にeKYCを導入するなら、世界最高水準の生体認証技術とセキュリティを保持する「ネクスウェイ本人確認サービス」をご検討ください。230社以上の企業に導入実績があり、さらに、100社を超える犯収法特定事業者様から選ばれた実績を持っています。
豊富な導入実績からなるノウハウを用いて、最短2ヶ月でのeKYC導入が可能です。ユーザー数により課金する従量課金制を採用しており、運用コストを変動化できる点も大きな強みです。
「ネクスウェイ本人確認サービス」は、「オンライン本人確認サービス」「本人確認BPOサービス」「本人確認・発送追跡サービス」などから成り立っています。そのため、本人確認に関わる業務をワンストップでアウトソーシングすることができます。
不動産特定共同事業への導入事例
ネクスウェイ本人確認サービスは、多くの不動産特定共同事業様に選ばれ、導入されています。導入事例の一部をご紹介いたします。
- 利回りくん(株式会社シーラ)
- LANDNET Funding (株式会社ランドネット)
- ちょこっと不動産 (株式会社良栄 )
- RENOSY(株式会社GA technologies)
- Intellex (株式会社インテリックス)
- TASUKI(株式会社タスキ)
- REISM(リズム株式会社)
導入事例の詳細はこちらからご覧ください。
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まとめ
不動産特定共同事業法と本人確認の重要性について詳しく解説いたしました。不動産特定共同事業法とは、不動産特定共同事業の健全な運営と、投資家の保護を目的として制定された法律です。任意組合型、匿名組合型、賃貸委任契約型の3種類に分けられる不動産特定共同事業は、その事業者を名乗るために一定の条件があります。
2017年に法改正された際、不動産クラウドファンディングに関する規制緩和が施されました。次いで2019年には、より一層の不動産クラウドファンディングの活性化のために法改正が成されています。不動産クラウドファンディングは、法律によって、利用者の本人確認が義務付けられています。その方法として現在主流となっているのが、オンライン上で本人確認を行うeKYCです。
安全かつ便利なeKYCを導入するなら、ぜひ「ネクスウェイ本人確認サービス」をご検討ください。
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