本人確認義務に関する法律とは|内容や違いを比較して分かりやすく解説
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本人確認業務が法律で義務付けられていることは知っているものの、その法律が具体的にどのような内容なのか、なぜ定められたのかという詳しい事情は知らないという方もいるのではないでしょうか。
金融機関などの特定事業者が、犯罪収益移転防止法によって取引の際の本人確認が義務付けられていることは有名です。しかし、実は犯収法以外にも本人確認義務を定めている法律があります。
この記事では、犯収法の詳しい内容や改正前・改正後の違い、犯収法以外の本人確認義務に関する法律などについて解説します。
目次[非表示]
- 1.事業者の本人確認(kyc)は義務?
- 2.特定事業者の本人確認に関する法律
- 2.1.目的
- 2.2.定義
- 2.3.本人確認義務
- 2.4.本人確認記録・取引記録の作成義務
- 2.5.特定事業者の免責
- 3.犯収法の改正前と改正後の本人確認義務の違い
- 4.本人確認が義務付けられている取引
- 5.犯収法以外の本人確認義務に関する法律
- 5.1.携帯電話不正利用防止法
- 5.2.古物営業法
- 5.3.司法書士会会則
- 5.4.電子署名法認定認証事業者が行う本人確認
- 6.安全な取引のためには犯収法の遵守が重要
- 7.近年ではeKYCによる取引が増加傾向に
- 8.eKYC導入なら「ネクスウェイ本人確認サービス」へ
- 9.まとめ
事業者の本人確認(kyc)は義務?
事業者の本人確認に関しては、さまざまな法律によって定められています。
例えば、金融機関やクレジットカード会社、宝石・貴金属取扱店などの特定事業者においては、「犯罪による収益の移転防止に関する法律」などの法律によって本人確認が義務付けられています。本人確認の要件を満たしていない場合や怠っている場合には、注意勧告だけでなく、罰金支払い命令などの罰則を受ける可能性があります。
また、本人確認時の記録や取引時の記録は保存の義務があり、取引が終了してからも7年間保管しなければなりません。
この記事では、「犯収法の本人確認義務に関する法律」と「犯収法以外の本人確認義務に関する法律」とで分けてご説明します。まずは、特定事業者の本人確認に関する法律から見ていきましょう。
KYCについてさらに詳しく知りたい方はこちらの記事もご覧ください。
KYCとは?金融機関のみにとどまらない本人確認の重要性
特定事業者の本人確認に関する法律
これまでに解説した通り、特定事業者の本人確認義務について定められている法律は、「犯罪による収益の移転防止に関する法律」と言います。「犯罪による収益の移転防止に関する法律(通称:犯罪収益移転防止法、犯収法)」は、マネー・ロンダリングやテロへの資金供与の防止を背景として、2007年に制定されました。
ここでは犯収法について詳しく解説していきます。
目的
犯収法の主な目的は、盗難や詐欺などの犯罪による収益を口座などを介して移すことで出どころが分からないようにする、マネーロンダリングの防止です。また、犯収法によって経済活動が健全化するとともに、金融機関等を通じて顧客管理体制整備を促進させるというのも目的に含まれています。
定義
犯罪収益移転防止法における「金融機関等」には、次の機関が定義されています。
●銀行
●信用金庫
●信用金庫連合会、労働金庫
●信用協同組合、農業・漁業・水産加工など各種協同組合
●保険会社
●証券会社
●不動産特定共同事業者
●貸金業者
●住宅金融会社
●金融先物取引業
●振替機関、両替業者など
犯収法を遵守する義務がある特定事業者には、上の金融機関以外にも次の事業者が指定されています。
●ファイナンスリース事業者
●クレジットカード事業者
●宅地建物取引業者
●宝石・貴金属等取扱事業者
●郵便物受取事業者
●電話受付代行・電話サービス事業者
●司法書士、公認会計士などの士業
本人確認義務
特定事業者には、特定取引を行う際に申込者(個人・法人)に対して本人確認を実施する義務が課せられています。
本人確認は、取引する申込者が個人の場合、運転免許証やマイナンバーカードなどの本人確認書類の提示を受けて、本人特定事項を確認します。本人特定事項とは、「氏名」「住居」「生年月日」の3つの項目です。
申込者が法人の場合、本人特定事項として、「法人の名称」「本店か主になる事務所の所在地」を確認しなければなりません。また、取引担当者の本人確認も合わせて必要です。
特定事業者に本人確認義務があると同時に、申込者に対しても本人特定事項に虚偽の申請をしてはならないという義務があります。
本人確認記録・取引記録の作成義務
本人確認を実施したあとは、直ちに確認記録と取引記録を作成しなければなりません。本人特定事項とともに、取引時確認を実施した際の方法について記録します。確認記録と取引記録は、それぞれ取引が終了してから7年間保存するようにしてください。
特定事業者の免責
特定事業者は、申込者や取引の代表者が本人確認を拒否した場合、本人確認に応じるまで取引やサービスに関係する義務を拒否できるという免責があります。それだけ本人確認は取引時において重要な確認であり、必ず実施されていなければならない義務なのです。
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犯収法の改正前と改正後の本人確認義務の違い
犯収法は、2007年の施行から2023年まで3回の改正を経ています。
1回目の改正は2013年で、改正内容は確認事項についてでした。従来の本人特定事項に加え、職業や取引の目的についても確認することが義務化されたのです。確認の方法は口頭聴取やメール・FAX、書面の授受などで、申込者からの申告で行われます。
法人の場合は、取引の目的に加えて事業内容と議会の1/4を超える議決権を持つ人物の有無、いる場合はその人物の本人特定事項の確認も必要です。
さらに、2016年に施行された2回目の改正では、本人確認書類に顔写真の添付がない場合は2点以上の書類提示が必要になりました。
2018年3回目の改正では、インターネットの普及やデジタル化が進む社会を背景として、オンラインで本人確認を完結できるeKYCが認められました。現在では、本人確認手法の一つとして広く利用されています。
本人確認が義務付けられている取引
例えば、特定事業者の中でも、金融機関に本人確認が義務付けられているのは次の取引です。
●口座開設するとき
●200万円を超える現金取引や小切手の支払いを受けるとき
●10万円を超える現金振込み
●融資取引するとき
10万円を超える現金振込みには、口座振込に限らず電気・ガス・水道代などの公共料金の支払いも含まれます。
また、宅地建物取引業者の場合は、宅地建物売買契約が締結したときや代理・媒介を行ったときに本人確認義務が生じます。
犯収法以外の本人確認義務に関する法律
これまでは犯収法について解説しましたが、犯収法以外にも義務付けている法律があります。犯収法特定事業者に含まれていない事業者でも、法律上本人確認義務がある場合があるため、注意が必要です。
ここからは、犯収法以外に本人確認を義務付けている法律を紹介します。
携帯電話不正利用防止法
携帯電話キャリアなどの携帯音声通信事業者に対し、契約締結時の本人確認を求めた法律です。携帯電話を不当に複数台を所有して、なりすましなどの犯罪に利用するのを防止するために定められました。
携帯電話不正利用防止法では、事業者に対して、携帯電話契約時に本人確認書類の提示を受けることを義務付けています。一方で、契約者に対しても本人特定事項へ虚偽の申告を行うことを禁止している法律です。
携帯電話不正利用防止法については、「携帯電話不正利用防止法とは?本人確認要件とeKYC手法3つを解説!」の記事をご参照ください。
古物営業法
リサイクルショップや中古品買い取り業者などの古物商では、古物の買い取り・売却などの取引の際に、古物営業法によって本人確認が義務付けられています。本人確認書類の提示を受けて本人特定事項を確認するか、書類に住所・氏名・職業・年齢を署名とともに記載してもらう必要があります。
古物取引は、盗難などの犯罪被害にあった品を流通させる危険性があるため、本人確認を義務付けることで犯罪防止を図っています。
古物営業法については、「古物商の本人確認業務はどう行う?古物営業法・犯収法のルールを詳しく解説」の記事でも詳しく解説しています。
司法書士会会則
法律ではありませんが、司法書士会会則でも、登記や訴訟などの手続きの際に、本人確認および本人の意思確認が定められています。司法書士会とは、司法書士法に基づいて各都道府県に対して一つ(北海道の場合は4つ)の設立が義務付けられている法人です。
本人確認書類として認められるものについては、各県の司法書士会において若干の違いはありますが、運転免許証をはじめとする顔写真付きの身分証明書や印鑑証明証の提示や写しの提出が求められます。
司法書士の業務の一つに宅地建物取引があり、本人確認は犯収法においても義務付けられています。しかし、他にも建物の登記や相続の手続きなどのマネーロンダリングに関連する業務が多いことから、司法書士会会則において本人確認を実施しているのです。
電子署名法認定認証事業者が行う本人確認
電子署名法においては、「当事者署名型」と呼ばれる電子署名を発行する際に本人確認が求められます。総務省や法務省・経済産業省から認定されて認定局サービスを行う認定認証事業者は、申込者に対し、本人確認として次のことを行わなければいけません。
●住民票の写し、住民票記載事項証明書の提出
●戸籍謄本・抄本の提出
●身分証明書の提示、あるいは申込書の押印・印鑑証明書の提示か本人限定受取郵便の受信
安全な取引のためには犯収法の遵守が重要
事業者と申込者の両方が犯罪に巻き込まれないよう、安全に取引を実施するためには、本人確認を確実に行うことが重要です。法律によって義務付けられているから、違反すると罰則を受けるからという理由だけではなく、事業者はコンプライアンスを守り社会的信用を保つためにも、犯収法の遵守は必ず必要になります。
近年ではeKYCによる取引が増加傾向に
近年、インターネット環境の普及によって非対面の取引が増えていることから、オンラインで本人確認が完結するeKYCの需要が拡大しています。eKYCは、本人確認が義務付けられている特定事業者だけでなく、非対面取引の機会が多くなった事業者も安全に取引を行えるため、導入する事例も増加傾向にあります。
eKYCで現在主流となっている手法は、特定事業者が提供するアプリから、取引する本人の容貌画像と顔写真付き身分証明書の写真の送信を受ける方法です。eKYCは安定したインターネット環境があれば、事業者・申込者ともにメリットが大きい方法と言えます。
ここでは、eKYCのメリットについて解説します。
本人確認がスムーズで業務時間の短縮が可能
従来の本人確認のように窓口などで一人ひとり対面して確認する必要がないため、申込者からの申し込みのタイミングが重なっても、スムーズに対応することが可能です。申込者にとっても、窓口の順番を待つ時間や手続きを待つ時間が大幅に短縮されるというメリットがあります。
本人確認業務にかかる負荷の削減が可能
本人確認はアプリの指示に従って進めていけば良いので、事業者側の対応は提出書類と容貌画像の突合と目視確認のみです。これによって、本人確認にかかっていた業務時間が大幅に短縮されるだけでなく、かかる負荷もかなり削減できます。
今まで本人確認業務に割くリソースが少なく、急な申込者の増加に対応できなかったという場合でも、eKYCを導入すれば解決できるでしょう。
不正・なりすましを防止する安全な本人確認を実現
eKYCには、取引を行っているのが本人であることを証明する「当人認証」の中でも、不正やなりすましを図りにくい生体認証を採用しています。
また、AIやプログラムを使った不正を防ぐため、まばたきや顔の動きといった生体反応の確認も合わせて実施する場合もあります。
オンラインで完結する本人確認に、情報の漏洩や不正を懸念する事業者は多いかもしれません。しかし、eKYCは犯収法でも認められている手法であり、セキュリティレベルが高く安全な本人確認方法だと言えます。
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eKYC導入なら「ネクスウェイ本人確認サービス」へ
eKYCは、時代のニーズにあった本人確認方法として、犯収法特定事業者をはじめとする多くの事業者から導入されています。自社のサービスや商品にあったeKYCの導入には、信頼できるeKYC事業者をパートナーにすることが欠かせません。
ネクスウェイ本人確認サービス は、本人確認をeKYCから書類確認業務までトータルでサポートいたします。eKYCに必要なアプリ設計からeKYC後に必要な業務のアウトソーシングまで、ワンストップで一括してお任せください。もちろん、必要な業務のみピックアップしてお申し込みいただくことも可能です。
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まとめ
事業者の本人確認については、さまざまな法律によって定められています。例えば、金融機関などの本人確認業務は、主に犯収法によって義務付けられています。これは、マネー・ロンダリングやテロへの資金供与の防止を目的とした法律です。
犯収法で定められている特定事業者以外にも、さまざまな事業者が次のような法律によって義務付けられています。
●携帯電話不正利用防止法
●古物営業法
●司法書士会会則
●電子署名法
しかし、本人確認業務にはコストがかかる上に、社内リソースを大きく割かなければいけません。本人確認業務を効率化して少しでも業務の負担を減らしたいという方は、eKYCの導入をおすすめします。
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