押印廃止の流れに即した本人確認の方法は?押印見直しの手順も解説
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行政手続きをはじめとする業務のDX(デジタルトランスフォーメーション)化を背景として、書類への押印に関しても見直しが進められています。
取引内容の明文化が目的である契約書には、押印は必要であるという声は今もあります。しかし、本人確認においては押印は必ずしも必要ではありません。本人確認には、すでにオンライン手法であるeKYCが確立しているためです。
この記事では、押印廃止の流れに適した本人確認手法であるeKYCについて解説するとともに、自社業務での押印廃止へのステップについて解説します。
目次[非表示]
- 1.押印の必要性
- 2.押印廃止が進められる理由
- 2.1.生産性の向上
- 2.2.ペーパーレス化の推進
- 2.3.リモート社会の実現
- 3.押印廃止はいつから始まる?
- 3.1.行政手続きの押印廃止について
- 3.2.民間企業でも押印廃止の動きが活発化
- 4.今後は本人確認にも押印廃止が求められる
- 4.1.そもそも本人確認とは
- 5.本人確認の種類
- 6.押印を必要としない本人確認の方法
- 6.1.オンライン本人確認のメリット
- 7.本人確認の押印廃止までの手順
- 7.1.押印廃止をする目的や課題の明確化
- 7.2.オンライン本人確認サービスを選定
- 7.3.社内ルールやワークフローの設定
- 7.4.社内外に情報を共有
- 7.5.効果検証を実行
- 8.eKYCを導入するなら「ネクスウェイ本人確認サービス」
- 9.まとめ
押印の必要性
押印廃止が進められているものの、契約書作成時などは未だに押印が必要というケースも多く存在しているようです。
契約締結は本来書面を交わす必要はなく、民法上では口頭でも成立します。しかし、ビジネス取引において、契約の事実や契約内容を双方明確にしておくことは欠かせないため、契約の証拠として契約書の作成が必要とされているのです。押印は本来、契約が確かに交わされたことの証明として機能を果たしていました。
しかし、デジタル化が進んでいる現代で押印をアナログで行うのは効率が悪い上に、アナログの書類では管理をする上でのセキュリティ面でも不安が残ります。
近年では、タブレットなどを活用してサインをしたり、オンラインで電子印鑑による捺印をしたりなど、データ上での署名も可能です。そのため、押印廃止をしても問題なく業務を進められる事業者は多いと言えるでしょう。
押印廃止が進められる理由
近年、押印廃止へ向けてさまざまな取り組みが進められています。特に、行政手続きにおいては、新型コロナウイルスの感染予防対策やデジタルガバメント実現を理由として、押印廃止への取り組みが活発になっています。
日本の伝統的な業務の一つである押印を廃止する理由には、どのようなものがあるのでしょうか。ここでは、押印廃止を進める理由について説明します。
生産性の向上
押印の廃止によって、押印にかかる業務をすべてなくすことができるのは大きなメリットです。他の業務にかかっていた分の時間を他の業務に充てることで、生産性の向上を期待できます。
押印に関連する周辺業務は多いものです。例えば、押印前に関連する部署の上司への根回し、上司から順に押印するべきという理由からの順番待ち、押印後の書類管理など、件数が多くなれば他の業務にかける時間を圧迫するほどのボリュームにもなりかねません。
業務効率化はすべての企業が抱えてる課題です。押印を廃止すれば、業務効率化と生産性向上を進められるでしょう。
ペーパーレス化の推進
手続きのデジタル化に伴い、行政や企業では書類の電子化が進み、ペーパーレス化が推進されています。電子押印も存在しますが、従来の押印業務には紙が必須です。押印業務には、紙の書類のファイリングやラベリング、ファイル管理場所の確保などの手間やコストも必要になります。書類や手続きをデジタル化し、ペーパーレスを進めるならば、押印廃止は欠かせないでしょう。
リモート社会の実現
押印廃止は、リモート社会を実現するためには避けて通れません。2020年頃から、新型コロナウイルス対策のために、リモートワークという働き方が急激に拡大しました。感染拡大が落ち着きを見せてきた2023年以降においても、リモートワークはそのまま定着しつつあります。
しかし、一般社団法人日本情報システム・ユーザー協会(JUAS)が2020年に実施した「企業 IT 動向調査 2021」によると、リモートワーク時の課題として「押印などの業務プロセス(契約、経理業務のデジタル化等)」という回答が67.4%でトップという結果になりました。
押印廃止を進めることが、リモート社会を実現させる後押しになるのは間違いないでしょう。
押印廃止はいつから始まる?
押印廃止が進められていることはニュースでも話題になりましたが、自社で押印廃止の動きがなければ他人事のように感じるのは仕方のないことです。しかし、押印廃止は現実的に行政手続きを中心に大きく広がっており、それを受けて民間企業においても廃止の流れは広がってきています。
ここでは、行政手続きを中心に押印廃止の取り組みの現状について解説していきます。
行政手続きの押印廃止について
「内閣府/地方公共団体における押印廃止マニュアル」によると、令和2年時点では、民間から行政への押印が必要な手続き14,992種類のうち、99.4%にあたる14,909手続きに関して押印廃止が決定、あるいは押印見直しの方向になりました。
押印が存続する手続きに関しては、登記印や登録印、印鑑証明が必要になるものであり、認印を必要とする手続きはほとんどすべて廃止が進められています。
民間企業でも押印廃止の動きが活発化
一方、民間企業でも押印廃止の動きは活発化しています。業務のデジタル化やリモートワーク中に押印のため出社することが社会問題になるなどの後押しを受け、多くの企業が押印廃止を進めているのが現状です。
特に押印の必要性が高い契約書作成に関しては、電子印鑑や電子署名の利用へ切り替えがなされています。
今後は本人確認にも押印廃止が求められる
事業者と取引しているのが本人であることを確認する「本人確認」は、主に金融機関などの特定取引時に実施されています。
スマホなどで行うekycでの本人確認の場合は押印が必要ありませんが、対面や郵送での本人確認を行っている場合は、押印が必要とされるケースも少なくありません。例えば、提示する本人確認書類として印鑑証明が認められている場合や、口座申込時に銀行印が必要になる場合などです。
しかし、押印廃止が求められている流れを踏まえると、今後本人確認においても押印廃止が求められることが予想されます。
そもそも本人確認とは
本人確認とは、犯罪収益移転防止法によって金融機関などの特定事業者に対して、取引時の実施が義務付けられている手続きです。昨今では、顧客と事業者の安全性を保つために、特定事業者以外でも取引やサービスを開始する際に行われていることが多い傾向にあります。
マネーロンダリングをはじめとした犯罪防止のために実施されている本人確認では、押印は契約者が契約時の印鑑を所有しているという「所有認証」を満たす要件の一つになっています。
本人確認については、「KYCとは?金融機関のみにとどまらない本人確認の重要性」の記事もご覧ください。
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本人確認の種類
本人確認の対象になるのは、自然人(個人)と法人(人格のない社団や財団も含む)です。自然人の本人確認には、大きく分けて次の2種類があります。
●身元確認
●当人認証
この2種類の確認強度と認証強度を組み合わせて、本人確認の強度を決定します。次から、内容について詳しく解説していきます。
身元確認
身元確認とは、身分証明書や公的機関で発行された書類などで本人特定事項を確認することです。本人特定事項には、次の項目が挙げられます。
●名前
●生年月日
●居住している住所
対面で本人確認する際に身分証の提示を受ける、あるいは郵送でコピーの送付を受けるなどの方法で確認を実施します。
身元確認に利用される身分証には、運転免許証やマイナンバーカードといった顔写真付きのものが利用される場合がほとんどです。その他にも、住民票や戸籍謄本、水道代やガス代、税金といった公的な支払いの領収書が利用されることもあります。
身元確認保証レベル(IAL)とは
身元確認については、その方法によって保証レベルが次のような3段階に分けられます。
身元確認保証レベル(IAL) |
確認方法 |
IAL高 |
IAL低・中の方法に加え、さらに対面での確認 |
IAL中 |
公的機関で発行された身分証を用いた確認 |
IAL低 |
自己申告を受けての確認 |
当人認証
もう一つの本人確認である当人認証は、その場で手続きや申し込みをしているのが間違いなく本人であることを確認するものです。当人認証の方法には、大きく分けて次の3種類があります。
当人認証の方法 |
認証に用いるもの |
知識認証 |
IDやパスワードでのログイン、秘密の質問など |
所有物認証 |
SMS認証、クレジットカード番号記入、押印など |
生体認証 |
指紋や容貌画像などの生体情報 |
当人認証保証レベル(AAL)とは
当人認証においても、身元確認と同様に保証レベルの強度が定められています。
当人認証保証レベル(AAL) |
認証方法 |
AAL高 |
2要素以上を用いた認証 |
AAL中 |
2要素を用いた認証 |
AAL低 |
1要素のみでの認証(単要素認証) |
本人確認のレベルについて知りたい方は、「本人確認にはどのようなレベルがある?求めるセキュリティごとの要件を解説」の記事もご覧ください。
押印を必要としない本人確認の方法
押印は、本人確認において必須ではありません。紙の契約書や申込書がなくても、オンライン本人確認(eKYC)を利用すれば押印の必要はなくなります。
オンライン本人確認は、オンラインで身分証明書の写真とユーザーの容貌写真の送信を受けて行う確認手法です。これ以外にも、ICチップに登録された公的個人認証を利用したり、利用している金融機関と連携して確認したりする方法があります。
オンライン本人確認でも特にeKYCは、2018年犯収法の改正の際に認められた本人確認手法であり、多くの事業者で採用されています。
オンライン本人確認のメリット
オンライン本人確認には、次のようなメリットがあります。
●オンラインなのでスピーディに確認が進められる
●急な申込者の増加に対応できる
●業務効率化できる
これまで対面や郵送で実施されていた本人確認業務は、時間やリソースがかなり必要になっていました。オンライン本人確認はほとんどオンラインで進められるため、完了までがスピーディでユーザーの離脱を防げます。
また、時間や場所を問わずユーザーの都合の良い時間に実施できるので、ユーザーにとっての利便性も高いというメリットがあります。
オンライン本人確認(eKYC)のメリットをさらに詳しく知りたい方は、「eKYC導入のメリットとは?問題点やリスクはないの?対処法も解説」の記事もご覧ください。
本人確認の押印廃止までの手順
本人確認に必ずしも押印が必要なわけではない理由は前述の通りです。しかし、実際に現在実施している本人確認の方法から押印廃止を実現するまでには、社内外に対して入念な準備が必要になります。
ここでは、押印を廃止するまでのステップを詳しく説明していきます。
押印廃止をする目的や課題の明確化
まずはじめに、押印を廃止する目的や、廃止によって生じる課題を明確にする必要があります。押印廃止による業務効率化の度合いはどの程度なのか、コストの削減に貢献するのかなどに焦点を当て、これまでのワークフローへの影響なども合わせて検討しましょう。
オンライン本人確認サービスを選定
押印廃止の導入目的や課題が明確になったら、廃止に向けて自社で導入するオンライン本人確認サービスを選定しましょう。
オンライン本人確認サービスは数多くあり、内容や特色はさまざまです。本人確認業務にリソースが圧迫されている悩みがあるならば、オンライン本人確認の導入を含めた確認業務をすべてアウトソーシングできるサービスを選ぶのが良いでしょう。
本人確認サービスを選ぶ際に知っておきたいポイントについては、「eKYC導入前に知っておくべきこととは?まとめて解説」の記事もご覧ください。
社内ルールやワークフローの設定
押印を廃止する際には、社内ルールに大きな変更が必要になるでしょう。顧客の押印を廃止するため、顧客に不満を持たれないように、スムーズに対応しなければいけません。「どのようなルールで行うのか」「どのような流れで本人確認をするのか」を明確にしておくようにしましょう。
また、本人確認に関する押印廃止をするのと同時に社内での押印廃止を進める場合は、社内のワークフローが明確になっていないと、担当者が曖昧になってしまう危険性があります。だれがどのような順でチェックするのか、事前設計や事後履歴をしっかりと確認できるようにしておく必要があります。
社内外に情報を共有
本人確認における押印を廃止し、オンライン本人確認に切り替えることは事前に社内外に告知しておきましょう。
社外には、ホームページやメール、郵便などを用いて漏れ落ちなく通知します。社内に対しては事前にマニュアルなどを用意して、社外からの問い合わせに対応できるようにしっかり情報共有しておくことが大切です。
効果検証を実行
押印廃止をしてオンライン本人確認を導入したら、実際にどの程度業務効率化や顧客満足度に効果が出たかを測定しましょう。問題点が上がって来た場合、課題を洗い出して必要ならば本人確認サービスの選定も検討します。
eKYCを導入するなら「ネクスウェイ本人確認サービス」
本人確認業務の押印廃止を検討している方の中には、「本人確認をオンライン化するため、eKYCの導入を考えているが、どのサービスが良いか分からない」といった悩みを抱えている方もいるのではないでしょうか。
このような悩みを持たれている方は、ぜひ「ネクスウェイ本人確認サービス」にご相談ください。
本人確認業務をトータルで支援するネクスウェイ本人確認サービスならば、自社にあったeKYCシステムのご提案から、eKYCが利用できない顧客に対する確認まですべて対応することが可能です。
料金は使用した分だけの従量課金制なので、繁忙期と閑散期で申し込み数に差が大きい事業者様にも安心してご利用いただけます。
まとめ
近年、取引やサービスのオンライン化が急速に進められ、リモートワークにおいても書類押印にかかる業務が課題になっています。行政機関をはじめ、民間企業でも押印廃止の流れはすでに主流になっていると言えるでしょう。
本人確認業務において押印廃止するならば、このタイミングでeKYCを導入するのがおすすめです。ネクスウェイ本人確認サービスならば、eKYCをはじめとした本人確認業務をワンストップで委託していただけます。